2016年02月



「妙案ですね」ベヴィエも同意した。
「カレロスに着いたらオーツェルを大聖堂に届けて、ドルマントに会いにいってくれ。こっちで起きてることを説明して、ヴァニオンとほかの騎士団長たちにも伝えてもらうんだ。奥地で起きてる小競合《こぜりあ》いはマーテルが裏で糸を引いているものだから、絶対に教会騎士団を派遣しようなどとは考えるなと釘を刺しておいてくれ。クラヴォナス総大司教が亡くなったときには、四騎士団がカレロスに駐在している必要がある。それを聖都からおびき出そうとするのは、これまでずっとマーテルがやってきたことなんだ」
「かならず伝えます」ベヴィエが言った。
「できるだけ急いで行ってきてくれ。猊下は見たところかなり頑丈そうだから、少々無理をしても大丈夫だろう。少しでも早く国境を越えれば。時間を無駄にするな。ただ、じゅうぶんに気をつけHKUE 呃人てな」
「任せといてください」クリクが請《う》け合った。
「できるだけ急いでランデラ湖へ駆けつけます」とベヴィエ。
「金は足りるか」スパーホークは従士に尋ねた。
「何とかなります」クリクはにっと笑った。白い歯が薄暗い光にきらめいた。「それにドルマントは古い友だちですからね。気前よく貸してくれますよ」
 スパーホークは笑い声を上げた。
「じゃあもう寝るんだ、二人とも。明日はオーツェルを連れて、夜明けとともに出発してもらいたい」
 翌朝は誰もが夜明け前から起きだして、カダクの大司教の左右を固めたベヴィエとクリクを見送った。スパーホークは料理の火明かりで地図を確かめた。
「一度浅瀬の向こうに戻ろう。その東にもっと大きな川があるから、橋を探さなくてはならないだろう。北へ行く手だな。ゲーリック伯爵の巡邏《じゅんら》隊なんかに見つかりたくはない」
 朝食をすませると、一行は水を跳ね飛ばして向こう岸に渡り、馬首を北へ向けた。東の空がぼんやりと明るくなり、どこか厚い雲の向こうで日が昇ったことを示していた。
 ティニアンがスパーホークの横に並んだ。


「ちょっと君、ベッドから起き上がらせて避孕 藥くれないか?」
その看護士は、老人を抱え、起き上がる介助をした。
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「ああ、それぐらいの高さでいいよ。」
ベッドから覗き込むように、老人は窓の外を眺めた。

「ここからは、駅が見えるんだね。
昔の駅員と言えば、切符鋏(ハサミ)をカチャカチャ鳴らしながら
切符に鋏をイレていたんだよ。
今、自動改札になって、機械がいっぱい並んでいるだろう。
あれと同じぐらいの数の改札があって、
それぞれに駅員が立っていて、
大勢の人の切符を切っていたものだった。
君は、そんな時代のことを知ってる婚宴紅酒かい?」

「まだ、私が生まれてない頃ですね」

「あっ、そうだろうな~。
切符を買うのも子供の頃は憂鬱でね。
コインを入れて買う自動券売機もない頃は、
駅の出札係に
声に出して駅の名前を言わなくちゃならないんだ。
そのころの東京の駅の出札係といえば、まるでケンカ腰だった。
昔の江戸っ子っていうのは、ちょっと気が短くて、
「ヒ」と「シ」の区別がつかない。

『日比谷(ヒビヤ)まで1枚』と言うとね、
『えっ? もっと大きい声で言ってくれなきゃ
解んないじゃないか!』ってね、
怒鳴られるように言われ、
手にした切符を見ると渋谷(=シブヤ) までの切符だった。」

「たいへんだったんですね」

「そうだよ、人が相手だと何でも大変だった。
それが今では、何でも自動だ。
あの頃は、どこに行っても、人がいっぱいだった。
だけども、今は、駅も人がいない。
最近は、乗る人までいなくなってる。

少子化がすすんだどころか、人がいなくなって、
仕事は、ほとんどロボットがするようになってしまった。

2050年の今年。
この病院だって、
看護士も全部アンドロイド-ロボットになってしまった。

アンドロイド-ロボットが注射を皇室纖形 電話打ち、
脈を測ったり、問診したり、
入院患者以外は、みんなロボット。
君のように話し相手ができる "Siri" ロボットは、実にありがたいが、
正直なところ、本当の『人間』と話したくって仕方がない!」

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