「事情があって、完全に元通りってわけじゃ無いけど、シルティのおかげでね。あの声はシルティなのよ。アロマリカーナ様の寄り代となったの、長くは動けない。最後の力で私を人間界に送ってくれた。マンジュリカーナを助けなさいって」
なっぴは思わずうれしそうに言った。
「よかった、シルティは死んでしまったのかと思っていた……」

「魚族は不思議な力を使い、生き残った『カンブリア族』をさらに追い立てた。一部は地上にはい上がり、古い形態のまま今も生き続けている。それがこの星でもっとも多い昆虫族。絶滅したキョウリュウよりも古くから生き続けて水解蛋白いる」

 ラグナの記憶はナナのそれと同じだった。マオの洞窟でナナの念波を受け取るギバは次第に近づく『amato2』を感じはじめていた。その様子を見て、ダーマは驚く。
「これは不思議だ、ギバはラグナに取り込まれていない。カイリュウ族はヨミの戦士たちとやはり違う。それともわしの力が弱まっているのか」
ヨミの戦士は、その心までラグナに操られていた。浄化された時にはじめて本来の心を取り戻したというのに、ギバはなかなかそうならないのだった。ダーマはそれが理解できなかった。しかもそれは彼の計算外であったのだ。彼の計算はこうだった。
 「起動した『シュラ』は誰も止める事はできない。それを制御する必要がある。そのため『ゴラゾーム』細胞に『マナ』の力を融合させるのだ、『ゴラゾーム』は『ヨミ』の産んだ星『ゴリアンクス』の「マルマ(マグマ)」とも言える康泰旅遊ものだ」
 彼が作り出そうとしている『シュラ』はマナとヨミ、光と闇を持つインセクトロイドだ。それはラグナが手に入れる事のできなかった、自立できる『体』なのだ。
「わしはこのままでは寄り代にはなれない、だからこそカイリュウの体が欲しい。あの小娘の持つマナの力を手に入れなくとも、『香奈』の力で十分だが邪魔者は始末しておかなければならない。ヨミの戦士に埋め込んでいたラグナは予想以上の成長をして戻ってきた。後はギバさえ操れればそれでよいのだが……」

 なっぴを倒せなかった場合はダーマは『シュラ』を起動させるつもりだった。それは不毛の戦いだ。しかし、ダーマは『ラグナ?マルマ』が『ルノクス』の女王を手に入れた後、姿を消した為に一族がこんな辺境の太陽系で滅んでいったのを見ていた。その悔しさはルノクスのムシビト、いや『マンジュリカーナ』に向っていた。
 「わしたちを追いつめたヨミ族への恨みは忘れてはいない。そして『ラグナ?マルマ』様を消し去ったのはきっとルノクスの『リリヤ』に違いあるまい。もしわしがあの小娘を倒せないようなら、最高の贈り物をしてやる。恨むのなら『シュラ』を作った科学者を恨むがよい、はっはっは」
 その独り言を『香奈』は閉じ込められたマユの中で聞いていた。彼女はダーマの本心をつかみたかった。しかしマユの中から外へ話す事はできない。
「なっぴに伝える方法があれば、いいのだけど。彼は大きな勘違いをしている……。なんとか気付かせる方法はないかしら」

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「やつらはそろそろ、このマナの洞窟にやってくるぞ」
ギバがそう言って現れた。ダーマは彼に埋めこんだラグナに「ヨミの戦士」たちから吸い取った記憶も埋め込んでいた。ダーマは「ヨミの戦士」に寄生していたラグナが浄化される度に、心の奥が軽くなるのを感じた。それが「ラグナ?マルマ」のいる事はもちろん知らない。『amato2』のナナはヨミ族について話をした。

 「ヨミ族は、ラグナ族の生き残り。いえ、『最後のカンブリア族』と言っていいかも知れない。ラグナに吸収しきれなかった彼らは『魚族』に補食される存在でしかなかった。地上に逃れたものは敵が少なく生き延びたがほとんどはまだ海中にいた。それらが追われてダーマと同じく海底から次元の谷を抜けて逃げのびる、その地がヨミの花園だった。そして長い時が流れ、ヨミ族は進化し『ムシビト』となった。そしてなっぴの先祖が移住し『レムリア』と名付けた」
 「そう『カンブリア族』を追いやったのは私に与えられた『パジェスの剣』、アガルタの『カイリュウ族』はムシビトと争い、そして勝った」

 三人は暫く押し黙ったままだった。