「ちょっと君、ベッドから起き上がらせて避孕 藥くれないか?」
その看護士は、老人を抱え、起き上がる介助をした。
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「ああ、それぐらいの高さでいいよ。」
ベッドから覗き込むように、老人は窓の外を眺めた。

「ここからは、駅が見えるんだね。
昔の駅員と言えば、切符鋏(ハサミ)をカチャカチャ鳴らしながら
切符に鋏をイレていたんだよ。
今、自動改札になって、機械がいっぱい並んでいるだろう。
あれと同じぐらいの数の改札があって、
それぞれに駅員が立っていて、
大勢の人の切符を切っていたものだった。
君は、そんな時代のことを知ってる婚宴紅酒かい?」

「まだ、私が生まれてない頃ですね」

「あっ、そうだろうな~。
切符を買うのも子供の頃は憂鬱でね。
コインを入れて買う自動券売機もない頃は、
駅の出札係に
声に出して駅の名前を言わなくちゃならないんだ。
そのころの東京の駅の出札係といえば、まるでケンカ腰だった。
昔の江戸っ子っていうのは、ちょっと気が短くて、
「ヒ」と「シ」の区別がつかない。

『日比谷(ヒビヤ)まで1枚』と言うとね、
『えっ? もっと大きい声で言ってくれなきゃ
解んないじゃないか!』ってね、
怒鳴られるように言われ、
手にした切符を見ると渋谷(=シブヤ) までの切符だった。」

「たいへんだったんですね」

「そうだよ、人が相手だと何でも大変だった。
それが今では、何でも自動だ。
あの頃は、どこに行っても、人がいっぱいだった。
だけども、今は、駅も人がいない。
最近は、乗る人までいなくなってる。

少子化がすすんだどころか、人がいなくなって、
仕事は、ほとんどロボットがするようになってしまった。

2050年の今年。
この病院だって、
看護士も全部アンドロイド-ロボットになってしまった。

アンドロイド-ロボットが注射を皇室纖形 電話打ち、
脈を測ったり、問診したり、
入院患者以外は、みんなロボット。
君のように話し相手ができる "Siri" ロボットは、実にありがたいが、
正直なところ、本当の『人間』と話したくって仕方がない!」